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2 カテゴリに 55 件の項目があります。
アイテム
漆黒の鞘
全体が漆黒に包まれた細長い鞘。その表面には、まるで経脈のような絡み合う紋様が走っている。中の刀はすでに行方知れずだが、この並外れた鞘に収められていた以上、鉄をも断つ名刀であったに違いない。 しかし、鞘に並んで刻まれた無数の傷痕は、いったいどのような武器によるものなのだろうか?

金創草
玉児が必要としている三種の薬材の一つ。 葉は細長く、縁はやや丸まっており、露のしたたる柳の葉のようである。

止血藤
玉児が必要としている三種の薬材の一つ。 蔓は細いがしなやかで、折ると断面から止血効果のある暗赤色の汁液が滲み出す。

壊れた幻術琵琶
無惨に破損した幻術琵琶。琴弦、頭部、背板がなくなり、頸から柱にかけての一部しか残っていないにもかかわらず、現世のものとは思えぬ微かな響きを発し続けている。
折れた鉄の剣
二つに折れた鉄剣。すでに役目を終え、本来ならば持ち主である英雄とともに、地下で永き眠りについているはずだった。 しかし、何かを探して墓を掘り返した者がいたらしく、この剣も掘り起こされた挙げ句、そのまま捨て置いていったようだ。

弦の切れた羽弓
羽弓使いが使っていた長弓。弓幹は使い込まれて艶を放っており、かつての使い手が注ぎ込んだ心血がかすかに窺える。 弦が断たれてしまっているが、駅亭にいる老いた弓使いなら修復できるかもしれない。

色とりどりの風車
色とりどりの風車。この地の険しさにも、人の世の悲しみにも煩わされず、風を受ければ楽しげに回り始める。

凝脂葉
玉児が必要としている三種の薬材の一つ。 その名の通り、葉は厚く瑞々しく育ち、揉み潰すとさわやかな香りがほのかに漂う。
鮮紅の血肉花
玉児が落とした血肉花。花弁は血のように鮮やかで、腐敗したような血腥い匂いを放っている。

小翠の赤い髪紐
やや色褪せた赤い髪紐。三本の木綿糸で編み上げられている。 もっと小さかったころは、お父さんも、お母さんも、おじいちゃんも、みんな小翠の髪を結ってくれた。それなのに、みんなどこへ行っちゃったの?

火の消えた烈焔獅子頭
獅子の頭を模した火炎放射器。炎の燃料を使い果たしており、今は使用できない。 燃料を満たせば、道を阻む茨を焼き払えるかもしれない。

埃をかぶった古い木の櫛
老女が遺した木の櫛。指の触れなかった部分には、うっすらと埃が積もっている。
一輪の血肉花
一輪の咲き誇る白い花。その形は玉児に与えたものとほぼ完全に同じである。 花弁は一枚一枚が艶やかな張りを持ち、螺鈿のごとき絢爛さを呈し、血にも似た甘く濃密な香りを漂わせている。
猟師の犬鈴
小ぶりな鈴。かつて猟師の愛犬「黄助」が所有していたもの。愛犬を失った猟師はこの鈴を握りしめたまま、二度と目覚めぬ夢へと沈んでいった。
幻術琵琶の背板
弦者の幻術琵琶の背板。柱の下部分で折れている。漆面に遺された淡い緑色の花々は、いまなお夢幻のごとく生き生きとしている。 三姉妹のうち、幻鬼だけが琵琶を元の姿へと組み立てることができる。幻術琵琶の部品を三つすべて集めたら、龐鎮の酒場にいる彼女を訪ねよう。
幻術琵琶の頭部
しなやかな造形の琵琶の頭部。かつて夢差が至高者へ献上したものだが、後に蕩穢によって密かに奪われた。 転手にそっと触れると、指先にかすかな震えが伝わってくる。まるで弦は無くとも、音色は未だ消えていないかのごとく。

幻術琵琶の琴弦
煙千歳はすでに敗れたが、彼女の古琴が突如として色とりどりの光を放ち始めた。なんと彼女は至高者より賜った幻術琵琶の琴弦を、自らの古琴に張っていたのだ。 三姉妹のうち、幻鬼だけが琵琶を元の姿へと組み立てることができる。幻術琵琶の部品を三つすべて集めたら、彼女を訪ねよう。

看板花旦の白粉
製造工程が複雑で材料も希少なため、極めて貴重な白粉。看板花旦のみが使用を許される。

龍形の令牌
欠片を組み合わせて完成した令牌。一頭の龍がとぐろを巻き、もう一頭が昂然と身をもたげ、共に波打つ雲と日月の間を縫うように進む姿が刻まれている。 どこかにある龍形の錠を開けるようだ。

無名大師の断たれた指
氷雪に閉じ込められ、腐敗を免れている断たれた指。宗門至高の扳指が、いまなおその蒼白い関節に掛かったままになっている。
素朴な簪
古風な造形の簪。本体は素朴だが、添えられた玉だけは今なお淡い輝きを湛えている。簪の先には小さく「婉」という字が刻まれているが、かつて名に「婉」を持つ女侠の所有物であったのか、あるいは故人を偲ぶための品であったのかは分からない。 この簪はかつて手拭いで丁寧に包まれ、墓前へ供えられていたが、なぜか手拭いもろとも土の中へと埋もれていた。

数珠
素朴な木製の数珠。経文を一万遍唱えれば、一分の功徳を得られるという。その持ち主はいったい幾度経を唱え、どれほどの歳月を待ち続けたのだろうか? もはや、その答えを知る者はいない。この数珠を手にしていた僧は、今や人ならざるものと化している。

渾源石
表面全体に亀裂が走りながらも、決して砕けることのない奇石。ひび割れの隙間には灼熱の光が緩やかに流れている。 殺気改造塔の動力源。これを食せば「楔子」の支配から脱して正気を取り戻し、朦朧とした日々を終わらせることができるという。

無限煌心
精巧に作られた、機械の心臓。永遠に鼓動を刻む心。無限の殺気を生みながら、その力に蝕まれることのない心。万物を呑み込まんとする、貪欲な心。武林を、さらには天外の力をも掌中に収めんと謀る、傲慢な心。 あるいは、消えることなき侠義の心。無限の可能性をもたらす心。

輝きを失った壊れた玉佩
玉児の父の遺体から落ちた暗い玉佩。 かつてこの玉佩には、玉児の父の亡き妻への想いと、運命への希望が託されていた。今では老人もこの世を去り、玉佩もまたその輝きを失い、この苦しい運命を嘆いているかのようだ。

破れた舞扇
鮮血色の舞扇。全体に痛々しい裂け目が走っている。

飛賊の秘伝書
飛賊の遺品。太い糸で雑に綴じられた薄い冊子。 表紙はなめした羊皮でできており、文字は何も書かれていない。中の紙は黄ばんで硬くもろくなり、縁には焦げ跡や汚れが目立つものの、虫食いの跡は見当たらない。虫除けの薬草の汁を染み込ませてあるようだ。 扉のページを開くと、『探囊取物手』の五文字が大きく記されている。

三つ頭の人形
手のひらほどの大きさの不気味な布人形。丸っこい胴体の上に、三つの小さな頭が並んでいる。 左の頭は目を閉じて眠り、右の頭は顔一面に不安と怯えの色を浮かべ、中央の頭はわずかに顎を上げ、鋭い目つきをしている。

双生の血肉花
一本の茎に並んで咲いた白い花。その形はほぼ完全に同じである。 花弁は一枚一枚が艶やかな張りを持ち、螺鈿のごとき絢爛さを呈し、血にも似た甘く濃密な香りを漂わせている。
玉児が作った保命丹
艶やかな朱色の丸薬。仄かな香りを漂わせているが、それは玉児が心を落ち着かせる薬草を加えたためである。 服用すると素早く血を止め、傷の治りを早めるとともに、経脈を温めて気を補うことで気力を回復させる。
敵とボス

双蛇夫人:白赤練
一対の蛇形剣を操る女。技は毒を含んで読みがたく、美しい容姿は見る者の警戒心を溶かす。近づいた者の末路は、おおよそ惨たるものだ。 一年前、「組織」と崑崙三傑が「四大怪面」に立ち向かったとき、白赤練もその一人だった。あの戦いで弦者の琵琶が砕け散り、溢れ出した幻術が林を飲み込み、白赤練もその中に閉じ込められた。 幻術に歪められたこの鏡林には、太陽も月もなく、生も死もない。あるのはただ、果てしない忘却と虚無だけだ。白赤練にできることは、蛇の群れを遣わして琵琶の欠片を探させることだけだった。琵琶を繋ぎ合わせれば、聖母が救ってくださる……もう一度、救ってくださる…… 蛇は蛇を産み、蛇は蛇に入れ替わる。群れは出ていっては戻ってくるが、琵琶は見つからない。彼女は次第に自分を抑えられなくなり、怒りに任せて何匹かを斬り捨て、怠けているとなじり、外で遊び呆けていると責め、結託して自分を騙しているとまで罵る。そのくせすぐに涙を流して亡骸を葬り、孵ったばかりの小さな蛇をあやして言い聞かせる。私を怖がらないで、恨まないで、置いていかないで、と。……自分はまだ聖母のお役に立てる。必ず琵琶を元に戻してみせる。

風雪の剣士
幻術師の遺跡の奥深く、白衣の刀客が名刀を手に、風雪の中に立っている。白衣の上に北国の軽装の鎧をまとい、その白は雪よりも白い。だが「至高者」の仕掛けた罠に落ち、その顔は半ば崩れ、暗い影がまとわりついている。 刀客が刃を振るえば、岩を断ち、雲をも貫く。亡霊のように音もなく動き、一撃ごとに凄まじい気迫がほとばしる。長刃は放たれれば一瞬で敵に届き、通り過ぎたあとには霜が凍りつく。長年、北の武林を渡り歩いて敵なしだった彼は、いつしか傲慢になり、恩には報い、仇は容赦なく討ち、思うままに生きてきた。愛刀「白影」で斬り捨てた悪党は数知れない。 行方知れずになった息子を探して、刀客はひとり南へ向かった。三年の旅の末、ようやく氷に閉ざされた禁地にたどり着く。しかし、あれほど探し求めた息子は、すでにこの地で死んでいた。 悲しみと怒りに我を忘れた彼は、仇を皆殺しにすると誓った。だが狂ったように殺戮を繰り返すうち、自分がすでに「至高者」の罠にはまっているとも知らなかった。いくつもの術で縛られ、九十九号人形を守る傀儡に成り果てたのである。 果てしなく吹き荒れる風雪は、刀客の傷ついた体を打ち据え、息子の無惨な最期は、片時も彼の胸を苛み続ける。そんな彼がようやく、後を託せる者に出会えた。その者が魑魅魍魎を斬り尽くし、息子の仇を討ってくれるはずだ。

暴徒
殺気に完全に支配された村人の亡骸。かつての意識も生命力も、殺気改造の失敗とともに消え去った。抑えようのない殺意に突き動かされ、乱雑な刀さばきながら、力の限り凶行に及ぶ。 怪面が彼らの村を破壊し、希望を託した殺気改造が、残されたすべてを破壊した。

「雷槍」:長鴻
雷鳴が空を裂き、一人一騎が天から降り立つ。現れたのは、槍技を極め、「組織」で数々の功績を挙げた男。沈着で義侠の心に厚い、魂と共に戦った旧友、長鴻である。 長鴻は若い頃、護送を生業とする老人について槍を学び、わずかひと月でその技を会得した。その後も槍で水面の波紋をすくい、修練を怠ることなく腕を磨き、ついには稲妻を集め、雷を呼ぶ境地に至った。 武林の外で繰り広げられる残酷な争いを自ら経験してからは、江湖や「組織」の中で、安らぎと余裕を守って生きることを望むようになった。名を隠し、目立たぬように振る舞い、妻を迎え、子を授かった折にも、親しい友を数人招いて祝っただけだった。日頃の楽しみといえば、八卦閣の片隅に座り、独り酒を注いで飲むことだろう。 今日、魂との再会を求めたのは、己の胸の思いに決着をつけるためか。それとも、「組織」の命に従うためなのか。

金仮面の黒衣の男
龍柱を介し、魂は烈火と闇が交わる地へ落ちた。楼閣の廃墟は闇の中で燃え続け、まるで災厄が最も残酷な瞬間で止まっているかのようだ。焼けた大地の向こうから、金の面をつけた黒衣の男がゆっくり姿を現す。その歩みは落ち着き、宗師の風格を漂わせていた。魂はこのすべてに、かすかな既視感を覚える。 黒衣の男が振るうのは、華麗で鮮やかな紅い刃。太刀筋は正確で老練、身のこなしも影のように軽やかだ。魂の刃が届こうとするたび、瞬時に身をかわされ、空を切る。勝つつもりなら極めて手強い敵のはずだが、その技には常に手加減があり、武芸を導こうとしているかのようだった。 これほどの武学の境地に達した者は、世に数えるほどしかいない。試練の後、黒衣の男は魂に「暗魔天城」の名を刻めと告げる……明らかに、この謎めいた先達は魔城の者だ……もしや暗魔天城の主、魔淵なのだろうか? ほかの龍柱を使えば、再び彼と会い、さらなる答えを得られるのだろうか?

女妖:骨婉約
骨と皮ばかりに痩せ細った白衣の女。枯れ井戸のそばに佇み、「想い人の呼ぶ声が聞こえた」と、歌うように訴え続けている。その夢を妨げる者は、水袖の刃と幻術の牢に捕らわれ、果てなき闇へ引きずり込まれる。 かつて彼女は、「至高者」の弟子が琴の音で数多の幻境を生み出すのを目にした。その絢爛たる光景に心を奪われ、迷わず門下に入った。だが「至高者」が授けたのは、殺気を用いた別種の改造の法にすぎなかった。芝居の歌声と幻術を融合させる道は見つからず、顔は日ごとに歪み、損なわれていくばかりだった。そんな彼女に、邪道から抜け出すための、死をも覚悟する決意を与えたのは想い人からの手紙だった。 九死に一生を得て師門を逃れた彼女は、崩れた顔を仮面で隠し、殺気を抑え込んで、想い人と約束した地へ駆けつけた。しかし、広大な龐鎮に見知った姿はなかった。奇術で捜し歩いた末に見つけたのは、想い人の遺した一筋の念だけだった。 彼は生前、彼女の歌う芝居を何より愛していた。だから井戸のほとりは彼女の舞台となり、彼女自身は、芝居と夢の囚われ人となった……歌い続けてさえいれば、想い人はきっと帰ってくる。たとえ口を開くたび、その歌声が泣き訴えるような響きを帯びていても。

剣痴:花千笑
青衣の剣客が、龐鎮へ至る街道の大橋に酔い立ち、面へ酒を浴びせる。彼がここに待つのは、心ある者が言ったからだ——昔年、剣を折った者が、ここを通ると。 剣術の極致が生涯の求めであり、彼は長く頂に立っていた。だがいつからか、惜敗した者たちが怪面にあっさり敗れ、凡庸な輩が一夜で武林の泰斗を覆す。すべては叫ぶ。改造しなければ、時代に捨てられる、と。 杯の酒で決める。一杯は改める、もう一杯は改めぬ。飲みきれぬほど飲んでも、どこまで数えたか忘れ、酒興に乗せて改造の末路をすべて捨てたつもりでいる。 以後、花千笑にはより強い友ができた。批判する正道は手ずから斬り、何の味もしない。やがて「崑崙三傑」が神秘の「組織」を連れて来て、いくらか新たな期待が生まれた。 誇りとしていた五尺の青鋒が折れるなど思ってもいなかった。剣先の断口を見つめられた瞬間、笑い声は大きく、剣勢はさらに狂うことにも気づかなかった。何千たび笑っても、酔客の痴心は解けない。

拳狂:鉄狂
拳法の達人。一年前、「組織」と崑崙三傑が手を組んで討った四大怪面の一人でもある。巨躯に筋肉がびっしりと盛り上がり、両の拳は鉄を打ち固めたように硬い。拳筋は読みにくく、一撃一撃が重く鋭い。正面から殴り合うのは得策ではない。身軽に動き回って相手の攻めをかわし続ければ、必ず崩す隙が見えてくる。 弱き者を守るために拳を振るう兄弟子・鉄鬼と違い、鉄狂が追い求めたのは「武」そのものだった。師の技を継ぎ、門派の武芸を広めること。それがすべてだった。師が臨終の際にたどり着いた拳の境地に触れるべく、師の遺品を使い、殺気改造に手を染めた。 力を得たばかりの頃は、正道だろうが怪面だろうが誰彼かまわず拳を交え、そのうちに「怪面の友」と呼べる仲間もできた。体内の力が日増しに制御を失いつつあると感じながらも、仮面と鋼釘、そして自分の精神力があれば抑え込めると信じていた。ところが昨年の戦いのあと、人を殺したいという衝動は強まるばかりで、武を磨く志まで塗りつぶされそうになっている。 かつての敵がまたこの林を通ると聞き、鉄狂は戻ってきた。これは拳のための戦いであり、決着をつける戦いでもある。殺気に蝕まれゆく自分が、最後まで自分であり続けるために。

姫君の護衛:鉄鬼
玄鉄の拳甲を使う武人。拳に憑かれた鉄狂の兄弟子にあたる。体躯は逞しく、顔つきは鉄のように冷厳。立てば泰山のごとく揺るがず、拳を出せば雄渾な力がほとばしる。玉妖と共に少主・沐小葵へ武を教え、護衛も担う。その連携に隙はない。 当時、師門の因縁には決着がついたものの、武林にはなお不穏な動きがあった。鉄鬼は混乱から身を引くつもりだったが、「組織」からの誘いと、その求める「規則」に心を動かされ、加入を決めた。 「組織」で鉄鬼が引き受けたのは、少主を守る務めだった。「弱き者を守り、横暴な者へ拳を振るう」。それもまた、彼が貫く武の道である。共に過ごすうち、その忠誠はさらに深まった。小葵には、澄んだ心と純粋な善意、そして人を導く力がある。命を懸けて守り、力の限り成長を支えるに値する人だった。 今、老冥主は死に、冥使の一人である魂は逃亡し、「組織」の情勢は一変した。胸に嘆息はあれど、鉄鬼は何も論じるつもりはない。少主の決断こそが、己の決断である。

姫君の護衛:玉妖
冷ややかな顔つきの女。両足で一本ずつ妖鋸の長刃を踏み、しなやかな脚で双刃を操る。その動きは稲妻のごとく、斬撃は比類なく鋭い。鉄鬼と共に少主・沐小葵へ武を教え、護衛も担う。その連携に隙はない。 玉妖はもともと身寄りのない少女で、危難に遭ったところを冥主に救われた。やがて幼い少主が親しげに「お姉さん」と呼び、家族になると言ってくれた。その言葉が、冷淡だった彼女の心に、幾つもの優しさを芽生えさせた。 主を守る務めは、ほどなく心からの慈しみと忠誠に変わった。演武場では少主にも容赦はしない。だが稽古を終えれば、足首の痛みや張りを和らげられるよう、経穴の揉み方を丁寧に教える。少主から贈られたものは、すべて黙って大切にしまってある。少主と共に過ごした時間は、冥主よりも長いのかもしれない。 沐老冥主が世を去ってから、「組織」には不穏な動きが広がり、江湖にも異変が相次いだ。少主の肩にかかる重さは、玉妖が誰よりもよく知っている。だが「組織」の行く末より、彼女が案じるのは少主の身の安全だった。

玉面郎君
山道で魂を幾度も挑発する怪面。玉面を被り、その顔には濃く滑稽な彩色が施されている。戦いでは二体の分身と共に攻めかかる。玉面は環を操り、狡猾かつ変幻自在に立ち回る。金面は剣を握り、意表を突く斬撃を繰り出す。鉄面は刀を振るい、猛然と攻めかかる。虚実入り交じる技を繰り出し、奇怪な笑みを浮かべながら相手の命を奪おうとする。 もともと荒行子の命を受け、道中の魂の動向を見張っていた。しかし、魂が山頂へ登っていく様子を、面白がるように笑って眺めていた。その奇矯で捉えどころのない性情は、荒行子の配下とはまるで思えない。加えて、その武術には異質な術法が入り交じっており、あるいは囚命と同じ源流を持つのかもしれない……荒行子の配下として、この男はいったいどのような役割を担っているのだろうか…… だが、祠での一戦では、どうやら完全に倒すことはできなかったらしい。それもまた、この男が密かに用意していた奥の手なのだろうか。

無頼者:荊野
馬賊の頭目。血のように赤い戦馬にまたがり、人も馬も全身から鋼の棘が突き出している。その姿は、駆けまわる茨の荒野そのものだ。残忍で血を好み、長年にわたって東の武林を荒らし回ってきた。馬で追い立て、正道の者たちを蹂躙することを何よりの楽しみとしている。 一年前、荊野は「組織」と崑崙三傑に敗れた。しかし遠くへは逃げず、手下を率いて山中に腰を据え、街道を押さえ、正道が掘り残した塹壕や抜け道をことごとく伏撃の罠へと作り変えた。 武芸もさらに磨きがかかっている。鉄棘に覆われた円盾は投擲でき、その守りを破るには幅広の重い刃が要る。腰に吊るした敵の首はいつでも握り潰して血を絞り出し、殺気でその血を棘へと変えて遠くの相手を傷つける。手にした斬馬刀で敵の血を吸い取って己の力に変え、あるいは己の血を削って技をさらに鋭くすることにも長けている。 この狂気の男も、かつては少年だった。宝刀を携え、まっすぐな志を胸に、正道へ仕えようとしていた。今も刀はあの頃のままだ。変わったのは、人の心だけだった。馬で傍らを駆け抜け、彼など目にも入らなかった正道の者たちは、今やみな彼の刀の下に果てた。それでも彼には、まだ心が晴れた気がしない。 これほど腐り果て、弱り果てた連中が、あの頃自分が焦がれて届かなかった正道であるはずがない。

「虎砲」:雷当
「組織」の達人。体躯は逞しく、武の力も強い。剛直かつ沈着で、忠義の心に厚い。かつて任務で右腕を失ったが、幸いにも魂に救われた。 その後、失った腕に虎の形をした手砲を取りつけた。力を蓄える時には虎の咆哮のような音が響き、強大な火力を放つ。今、新たな冥主・左殤の命で龐鎮を訪れている。夢差が長く練り上げた、影境全体を揺るがすほどの大陰謀を阻むためだ。 沐老冥主が突然殺され、犯人は、共に生死をくぐり抜けてきた魂だった。雷当は信じたくなかった。だが、情に照らしても理に照らしても、魂と会ったその場で捕らえるべきだったことは、認めざるを得ない。それでも、今の情勢と、何より二人の深い旧情を思い、ついに手を出さなかった。それどころか、戯夢山荘へ至る道を魂に示した。 だが、雷当ほど沈着な者であっても、その一挙一動が、左殤の計算の内にないと言えようか。

狂婦
殺気に完全に支配された村人の亡骸。鍬を振り回して、やみくもに掘り、斬りつける。力はさほど強くないが、動きは非常に素早い。 彼女たちは今も働いているつもりなのだろう。畑を耕す鍬を握りしめ、作物の出来や、薪、米、油、塩の値段をぼんやり覚えている。だが畑の畝はとうに荒れ、二度と秋の実りは訪れない。

暗魔天城の主:魔淵
五つの龍柱、五度の再会。それでも、三十余年に及ぶ離別を埋められるはずもない。幾万もの昼と夜、彼は魂の人生の大切な瞬間を、あまりにも多く見逃してきた。 言葉を覚え、よちよち歩き始める姿を見ることも、読み書きを教え、武術の手ほどきをすることもなかった。魔堡の武学を、自ら伝えることもかなわなかった。魔堡の血に宿る殺気はあまりに強く、それを御するには、並外れた身体と制御の力を要する。魔堡の者の導きがなければ、魂は幾重もの苦労を強いられたであろう…… 幸い、魂は無事に成長した。今やその姿は凜々しく、武の腕も自分に引けを取らない。繰り出される一手一手に、魔淵は三十余年の流転を見た。そして今、何を求め、何に迷っているのかも。魂は、自らの運命を歩んでいる。魔淵にできるのは、武を導き、血に宿る力の御し方を教えること。そして、いついかなる時も、背後には変わらず案じる者がいると、伝えることだけだった。 だが、胸にある言葉をすべて口にすれば、かえって重荷にもなろう。ならば、語れなかった教えも願いも、交わす剣の意に託せばよい。この一つ一つの試練が、ただ、彼の行く手を切り開く助けとなるように。

組織の姫君:沐小葵
沐天邈の一人娘であり、魂の幼馴染。活発で率直、気取らぬおおらかな性格の持ち主。幼い頃から剣を振るうことを好み、武学の才にも恵まれている。細剣「乱鶯」を手にすれば、その剣は軽やかで優雅。一瞬に十の斬撃を繰り出し、剣影を舞わせる。燕のように身軽で、宙からの斬り込みや突きを得意とする。鋭さの中にも、彼女だけの瑞々しい気迫がある。 ある日、すべてが変わった。何ものにも負けぬと信じていた父が、殺された。そして、その犯人は魂だった。 左殤はすぐに事実を受け入れたようだった。義父の仇は必ず討ち、「組織」にも彼女にも筋を通すと、慰めてくれた。けれど小葵は、何かの誤解なのだと、そう言ってほしかった……かつての和やかな日々は、今も目の前にあるように思える。父はいつも自らの信念を語って聞かせたが、彼女が口実を作り、魂を連れて剣の稽古へ抜け出すことは許してくれた。そんな時、左殤が代わりに父の相手をしていた…… 誰もが、かけがえのない家族だったはずなのに。いったい何が起きたのか。心から信じ、共に江湖を巡り、義のために剣を振るおうと願った人が、なぜ一言の説明もなく、「組織」の追手を振り切って、一人で龐鎮へ向かったのだろう。

四凶の斧の長兄:彭猛
「四斧兄弟」の長。三人の兄弟の仇を討つため殺気改造を受け、さらに巨躯となり、肉体は強靭で怪力を誇る。巨斧を振るえば岩山さえ砕き、正道の精鋭を何人も続けざまに斬り伏せた。 渓谷では、正道の一隊が多大な犠牲を払ってようやく彼を取り押さえ、太い鉄鎖を肩甲骨に通して駅亭の裏に拘束した。 かつて「四凶斧」は豪快に酒を飲み、肉を食らい、義侠のために立ち上がることもあれば、血煙立つ江湖で斧の下に数多の恨みを残すこともあった。それでも当時は、すべての因縁が武林の掟に従って裁かれていた。 だが三人の兄弟を罠にはめて殺され、自身も正道の一隊に追い詰められた時、彭猛はついに最後の理性を捨て、殺気改造の中へ完全に沈んだ。

紅衣の女剣士
鳩舎の高塔の頂に姿を現した、謎めいた紅衣の女。剣さばきは軽やかで美しいが、顔は殺気に焼かれ、歪んだ空洞と化している。それでもわずかに理性が残り、塔の頂にとどまっているのは、大切な誰かを待つためらしい。そのため魂と刃を交えても全力を出す気はなく、ただ殺気に駆り立てられ、自分を抑えきれずにいる。 彼女は魔教の出身でありながら、正道の弟子である大師兄と愛し合った。正道連盟の上層部は、もともと彼女の背後にある教派を許容しておらず、二人の愛はかえって彼女を害する口実となった。彼らは彼女をさんざん辱めたうえで、白々しく命だけは助けた。 あまりにも馬鹿げている。上層部は人ならざる者と戦う気概もないくせに、片隅でひっそり存在する小さな魔教には労を惜しまない。口では正道を名乗りながら、その度量は配下の弟子たちにまるで及ばない。 生き延びるため、そして復讐のため、彼女は改造を受けた。だが塔の頂に立ち、荒れ果てた正道大陣を見下ろすとき、彼女はすべてが虚しいと感じているのだろうか。あるいは、自らの愛も憎しみも、この生涯に悔いはないと思っているのかもしれない。

七星剣陣:大師兄
大師兄を筆頭に、七人の剣は寸分の狂いもなく連動し、北斗七星の形に陣を組む。ゆえに「七星剣陣」と呼ばれる。龍体改造を経て、彼らは殺気でつながり、進退はいよいよ一糸乱れぬものとなった。 七人はもともと清廉を保ち、ひたすら剣の修練に励み、悪を懲らし善を助けるばかりで、誰かと争うつもりなどなかった。ところが大師兄が魔教の女と恋に落ち、正道の掟を破ってしまった。剣の腕は抜きん出ており、輝かしい功績で過ちを補っていてもなお、連盟では長らく引き立てられず、冷遇されることも多かった。それでも大師兄は笑って受け流し、あらゆる理不尽を黙って受け止めた。 彼は愛する人も師門も裏切りたくなかった。相容れない「正」と「邪」のあいだで、己に恥じぬ道を歩もうとした。だが板挟みの中で、ずっと付き従ってくれた師弟たちにあまりにも申し訳ないとも感じていた。 師弟たちは事情をよく分かっており、師兄を責めるどころか、その受けた理不尽に憤っていた。そしてあの一件が、連盟上層部への最後の敬意と幻想を打ち砕いた。損得を考えず、分をわきまえて引き下がってきた。だが、その先に待っていたのは、いいように利用され、踏みにじられる駒になる道だけだったのだ。 募る怨みの果てに、彼らは「龍体改造」の企てに身を投じた。連盟はそれを口実に彼らを除名し、江湖から存在を消し去った。とりわけ、剣の腕が卓絶し、陣を率いた「大師兄」の名は、世に知られることなく埋もれていった。

鬼差
「組織」に仕える死士。鍛え抜かれた動きに無駄はなく、幅広の双頭刀で連撃を浴びせ、接近戦で相手を圧倒する。 鬼差の顔には目鼻がなく、ただ漆黒の空洞があるのみ。だが仮面は着けておらず、「怪面」のように血に飢え、狂気に陥っているわけでもない。彼らは暗がりを忍び歩き、神出鬼没に現れる紫がかった鬼影にすぎない。 しかし近頃、その鬼影が江湖に姿を現すことが増えているようだ。

巨鎚使い:万鈞
正道の大営を守る巨鎚使い、万鈞。巨体には、改造の傷痕が至るところに残っている。手にした金瓜の重鎚を振るえば、石も土も砕け散り、大地を揺るがして敵を打ち倒す。 身内や同門の者は、万鈞の怪力を恐れるか、愚鈍さを嫌っていた。世の偏見など気にしない白い鳩だけが、彼を大きな木のように思い、よく腕に止まって羽を休めた。 だが、たまたまその怪力を見た荒行子は、鳩と戯れて時を浪費するべきではない、その力は正道のために使えと叱った。そして「龍体の術」を授け、この術は知恵を開き、利だけがあって害はない、いずれ武林に並ぶ者なき力を得て、天下の英雄に敬われるだろうと告げた。 万鈞は、人に敬われたいなどと望んだことはなかった。ただ、生まれて初めて誰かに大きな期待をかけられた。その日から忠誠を誓い、命を懸けて従った。殺気の反動で意識が日ごとに曖昧になっても、荒様の命を守り、大営の門前に立ち続けた。 そこは日ごとに荒れ果てていったが、白い鳩はなお、古い友の傍らを飛んでいた。そして魂に敗れ、轟音と共に倒れた瞬間、なぜか、龍体改造には利だけがあって害はないという嘘が、万鈞の麻痺した混濁の頭を、ふとよぎった。

軟剣:烏冷霜
白山派の大師姉にして、門主・畢桃桃の一番弟子。魂が幽閉の地で彼女と出会った時、その仮面はすでに砕け、体内に荒れ狂う殺気を必死に抑え込んでいた。手にした軟剣は、しなやかでありながら折れることなく、なお気品と端正さを失ってはいなかった。 恩師・畢桃桃と同じく、烏冷霜もまた、龍体改造と殺気改造はいずれも邪法であると固く信じていた。畢桃桃の消息が途絶えると、彼女は師と真相を求める旅に出た。 その目で見るまでは、烏冷霜もよもや、同門の姉妹たちが怪面や人形へと改造されていたとは思いもしなかった。その秘事を突き止めた彼女もまた、災いを免れることはできなかった。そして殺気が制御を失うその時まで、烏冷霜は山道の果てへ連れ去られた師の身を案じ続けていた。 彼女はもともと豪商の娘だった。だが、乱れゆく世を目の当たりにし、武の道を志した。 彼女はもともと舞によって培った、しなやかな身のこなしを持っていた。だが殺気に駆られ、狂ったように剣を振るうこととなった。 彼女はもともと白山派の大師姉だった。だが、もはや師門を守る力もなく、師や先達に合わせる顔もない…… 改造された身となってなお、残ったのは忠義の念と悲痛だけだった。

堕落将軍:武軒
かつて部隊を率いて「怪面」と血戦を繰り広げ、その後は龐鎮の裏通りを守っていた将軍。身にまとう重厚な鎧は、陸家村の門番「拙壁」と同じ系譜にあり、鉄塔のようにそびえ立つ。手にした狼牙棒の一撃は重く、血に飢えた狂狼さながら。危機に陥ると、殺気を混沌の炎へ変え、敵を焼き払う。 彼の手で命を落とした改造者は数知れず、遺された装置は自らの身体へ移植した。彼の心は今も「怪面」が群れを成した時代にある。当時、反対を押し切って全軍に改造を命じた結果、戦友たちは皆、狂気へ堕ちた。自らの手で彼らにとどめを刺した後、その装置を己の血肉へ埋め込み、共に故郷へ帰ろうとしたのだ。 だが彼自身も、とうに深く堕ちていた。装置が幾重にも積み重なるたび、人の心は少しずつ削ぎ落とされた。やがて意識は表武林と裏武林の間を短時間行き来し、さらには裏武林の深部へ近づけるようになった……彼は悟った。あそここそ真の帰るべき場所だと。さらに多くの装置を呑み込み、さらにあの地へ近づき、幾万の亡魂をことごとく「濁」へ帰さなければならない!

神医:謝秋冬
名医・謝回春の弟子。銅銭をあしらった華麗な仮面を身につけている。その医術は、瀕死の者すら元の姿にまで癒やすほど。しかし、その代償として、数多の改造者が彼に殺気を吸い尽くされ、命を落としている。 師とは異なる考えを持っていたことが、彼と謝小戎が袂を分かった理由である。薬房を去ると、治療を口実に、改造された白山の女弟子をさらに誘い込み、裏通りでその殺気を貪るようになった。 改造者をどれだけ犠牲にしたところで、何を気にする必要がある? どうせ彼女たちは長く生きられず、間もなく世間から忘れ去られる。わずかな疑念の声が上がっても、感謝と称賛にかき消される。謝秋冬は初めからそう見切っており、事実もそのとおりになった。彼に治された病人は当代の名医と褒めたたえたが、改造者の亡骸に目を留める者はほとんどいなかった。 彼は甘く澄んだ殺気を貪欲に吸い上げる。その顔を飾る銅銭からさえ、芳しい香りが漂うかのようだ。

門番・拙壁
武軒の配下として、陸家村の門を守る番人。全身を重厚な鎧で覆い、兜の奥には血のように赤い一つ目が潜んでいる。手にした巨大な盾には、見る者を威圧する凶悪な獣の姿が刻まれている。 戦闘では巨大な盾を振り回して叩きつけ、薙ぎ払い、地面を激しく打ちつけて土煙を巻き上げる。さらに盾を構えて身を低くし、猛烈な勢いで突進してくる。しかし、その動きは鈍重で、攻撃をかわそうとはせず、頑丈な鎧と肉体を頼りに、あらゆる敵を正面から迎え撃つ。 幼い頃から軍営で育ち、日々耳にしてきたのは命令と軍の角笛ばかり。世間の暮らしを知ることもなかった。将軍が東へ進めと命じれば東へ、西へ進めと命じれば西へ向かう。将軍から殺気改造を受けるよう命じられたときも、少しも疑うことなく、黙って従った。 彼はとうに自我を失い、ただ守り抜くという執念だけが残っている。山のように動じることなく陣前に立ちはだかり、外敵を一歩たりとも通さない。 だが、彼はあまりにも長い間、背後を振り返らずにいた。そのため、守り続けてきた村がすでに赤い糸に覆われ、至るところに人形が転がっていることにも気づいていない。








